三か国の女性の生き方を描いたフランス小説「三つ編み」を読んだ

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読書

ワーママpicaco(@wmpicaco_)です。

全く境遇の異なる、三か国に生きる女性の姿を描いた「三つ編み」という小説を読みました。著者はフランスの映画監督/脚本家のレティシア・コロンバニさん。フランスでは120万部を超える大ベストセラーとなっていて、32言語での翻訳が決まっているという話題作です。

あまり出会ったことのない、変わった小説でとても印象深く心に残りました。また、世界のどこかでそれぞれ自分の境遇と向き合いひたむきに生きる人々がいる、ということに思いを馳せられるような、そんな小説でした。

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1. 著者 レティシア・コロンバニさんとは?

この本の著者のレティシア・コロンバニさんは、1976年生まれのフランスの映画監督、脚本家で、女優でもあるとのこと。

代表的な映画作品はオドレイ・トトゥ主演の「愛してる、愛してない…」。私もこの映画はオドレイ・トトゥ(「アメリ」の主演女優)主演と言うことで話題になって、見たことがありました。フランスを舞台にした、フランスらしい映画だったと記憶しています。

でも、今回のこの小説ではフランスは舞台にはなっていない(インド、イタリア、カナダの三か国が舞台)ところがまた、面白いと思います。

著者が映画監督というだけあってか、映画にしたら映えそうだなという情景が描かれていると感じました。実際に、映画化の話も出ているようで、映画化されたら日本でも公開されるといいな、と思います。映像でもぜひ見てみたいです。

 

2. 日本では「新井賞」を受賞

この小説は日本では「新井賞」なる賞を受賞したというのだが、この新井賞とはいったい…?私は初めて知ったので調べてみた。

新井賞は「芥川賞・直木賞より売れる文学賞」と言われていて、なんと書店員の新井見枝香さんという方が半年で一番面白かった本をたった一人で勝手に選んでいる賞だそう!それでこれだけ話題になるなんて、すごい書店員さんだな…

新井賞は今、第11回まで発表されていて、「三つ編み」は第10回の受賞。「三つ編み」の受賞に際しての新井さんのコメントは「私は今、何にだってなれるような気がしている。」新井さんの一言評がまた味があっていいなと思う。

他の新井賞受賞作品も読んでみたくなった。ちなみに私が新井賞11作の中で読んだことがあるのは角田光代さんの「坂の途中の家」だけだった。虐待死事件の裁判員となった母親の心情を描いたこの小説も、確かに記憶に残る小説だった。

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3.あらすじ

三つ編み」の舞台は、インド、イタリア、カナダの三か国で、三人の女性が交互にバラバラに登場しながら話が進んでいく。

インドで6歳の娘を育てるスミタは「不可触民(ダリッド)」と呼ばれるインドで最下位の身分とされる境遇にある。カースト制度の上位の人々の家の排せつ物を毎日集めて処理する仕事をしている。

まず始めにこの「スミタ」の物語が出てきて強烈な印象を受ける。私は恥ずかしながら今まで「不可触民」という言葉自体も知らなければ、そのような境遇の人が存在していることすらしらなかった。しかも調べてみると、これは過去の世界の出来事ではなく、今もインドではこのような差別的な風習が色濃く残っているようだ。

スミタは、6歳の娘には自分と同じ境遇から脱出してほしいと願い、なんとか学校に行かせて教育を受けさせようというところから話がスタートする。同じぐらいの年齢の子どもを持つ母親として、あまりにも自分を違いすぎる世界にショックを受けながらストーリーに引き込まれていく。

一方、イタリアに住む20歳の女性「ジュリア」は父親の経営する毛髪加工の作業所で働いているが、父親が交通事故で意識不明の状態になってしまい、急に自分が経営の矢面に立たされることになる。そんな中、ある移民の男性と出会い恋に落ちる。このジュリアの恋愛のシーンも小説の中でアクセントになっていて魅力的だなと感じた。

同じ女性だからか、恋愛感情の描き方の巧みさからか、住む国も境遇も違っても私はジュリアに感情移入することもできた。

最後に登場するのはカナダでバリバリのキャリアウーマンとして働く敏腕弁護士の「サラ」。シングルマザーとして3人の子供を育てながら、格式ある法律事務所の中で出世を目指して上り詰めて行こうとしていた中、なんと乳がんを告知される。これをきっかけに、今まで脇目もふらずに仕事に猛進して走り続けていたサラが、止まらざる負えなくなり、「自分にとって大切なものとは何か?」を計らずとも考えざるおえなくなる、というようなシーンが描かれていく。

一見、全く関係のない、交わることのないかと思われる3人の女性のストーリーが順番に少しずつ、時を追いながら描かれていくが、最後にこれが絶妙に結び付けられて物語は終わりを迎える。

途中辛く絶望的な展開を経ながらも、最後は希望の光を持てるような終わり方。

映画監督の方が著者、というのがすごく納得のいく、魅力的な小説だった。


気になった方はぜひ読んでみてください。息抜きに、ちょっとした勇気や元気がほしいときに、お薦めです。

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レティシア・コロンバニさんの最新作も出ているようで、こちらもぜひ、近々読んでみたいです。

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wmpicaco

2人の子どもを育てるアラフォーのワーキングマザー。転職経験なしの会社員。自分が本当にやりたい仕事はなんなのか?を模索しながら暮らしています。 詳しいプロフィールはこちら
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