ワーママが「真面目にマリファナの話をしよう」を読んだ

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読書
こんにちは、ワーママpicaco(@wmpicaco_)です。
ニューヨーク在住のジャーナリストである佐久間裕美子さんの著書「真面目にマリファナの話をしよう」を読みました。日本では「非合法ドラッグ」のイメージが強いマリファナですが、今アメリカなど多数の国ではマリファナがどんどん合法化されいろいろな製品が売られ、様々な活用方法が研究されています。これはそのマリファナについて真面目にリサーチされ書かれた本で、私も佐久間さんの他の本を読んだ経験もあって興味を持ち、実態をきちんと知っておきたいと思い、手に取りました。
日本ではタブー視され、なかなか普段話題に上がることがないマリファナについて、知識を深めることができる良い本だと感じました。
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1 世界でのマリファナ最新事情

2019年にもKAT-TUNメンバーの田口くんが大麻取締法違反で逮捕されたり、女優の沢尻エリカさんが合成麻薬MDMA所持で逮捕された時にも同時に大麻の所持も話題になるなど、日本では「危険な違法ドラッグ」という印象の強い大麻(マリファナ)

でも、そんなマリファナがアメリカその他の国では今、どんどん合法化されているという。

 

「2014年にコロラド州が、アメリカの領土で初めて、嗜好目的のマリファナ使用を合法化したことをきっかけに急成長したマリファナ業界に、巨額の資金が流れ込んでいる。
長いことずっと非合法ドラッグとして取り扱われてきたマリファナはもはや一部のアウトロー、フリークやヒッピーだけが手にするものではない。マリファナ観光という言葉が生まれ、新しくオープンしたマリファナショップの前に列ができる。
アプリでショップを見つけたり、マリファナの成分の入ったスイーツやお茶、コーヒーが入った商品が次々と登場しパッケージやブランディングがどんどん洗練されていく。」

 

こんな状況だと知り、本で登場してきたいくつかのマリファナショップのInstagramなどを見てみると、本当におしゃれで洗練された写真が沢山出てきた。
なぜこうも、日本と外国でマリファナ事情が違うのか?気になって読みすすめた。

 

前半、アメリカでの大麻の歴史について書かれた文章が長く続く。アメリカの歴史にもさほど詳しくなく多少退屈に感じてしまったが、日本とは比べ物にならないほど大麻に関して歴史的な紆余曲折、様々な運動や議論があったのだということがよくわかった。

2 日本でのマリファナの歴史

日本では、アメリカに比べてマリファナに関したさほど複雑な歴史はないようだ。

 

日本では弥生時代から布を作るためにアサ使われてきた。ところが戦後、アメリカのマリファナ政策に巻き込まれてアサを麻薬に指定。神事のために許可を受けて栽培される一部のアサを除き、麻の栽培や所持は事実上、違法になった。つまり元々ハイになるという習慣すらなかったのにアメリカと同じ扱いを迫られた。
 

実際に大麻を吸うというカルチャーが広がったのは1960年代以降。アメリカのヒッピー文化の影響もあって若者の間に限定的に広まった。違法物質とはいえ、ある時期まではある種の寛容さを持って受け止められていたが、1980年代に入りレーガン大統領が始めたアンチドラッグキャンペーンに追随する形で日本でも、「ダメ絶対」キャンペーンが功を奏し、世論は急速にアンチ大麻に傾いていった。
日本に大麻を違法指定することを指示したアメリカですら、科学的医学的エビデンスが積み上げられて立場の変更を余儀なくされているのに、日本では法律上ダメだということだけが外形的に残っていて取り残されている。

 

日本が取り残されている、という文章に、淡々とレポートを綴っている中にも著者の主張を感じた。

3 マリファナの医療利用

マリファナは嗜好品(お酒やタバコ等と同じように楽しむためのもの)としてだけではなく、医療目的の利用にも注目が集まっている。
 

本から引用すると、
「医療の世界ではカンナビスとよばれるこの植物が今、たくさんの疾患の治療や防止に効果を持つというコンセンサスが強固になりつつある。ガン、てんかん、多発性硬化症、緑内障、PTSD、睡眠障害、アルツハイマー病など カンナビスが治療や防止に効果を及ぼすことが少なくとも一部の研究によって証明された疾患のリストは尽きない。」
とのこと。
医学に関して特に素人の私には誰の主張を信じたらいいのか?判断できかねるところもあるが、もし本当にこんなに様々な病気の治療に効果があるのであれば、日本でも厳しく禁止して研究も進まないような状況は避けて、有効に使われる道が開けるといいと思う。

 

また、この本を読んで他のネット上の意見も参考にしてみたところ、緩和ケアとしての利用については、大麻をを使わなくても十分な症状緩和が可能なので不要だ、という主張もあるようだった。

 

医療大麻については、以下の通り本当に様々な国で合法化が進んでいるとのことなので、日本でもこの流れを無視するわけにはいかないのではないか?と思った。
もし自分や自分の家族が患者だったら、有効な薬はなんだって試したくなると思う。いざという時に選択肢が広がっていることを願う。

 

「アメリカでも歴史的にマリファナがもっとも危険な違法ドラッグとして扱われてきたことからカンナビスは簡単に入手できず、アメリカ以外の国の科学者や医師に牽引されていた
アメリカで潮目が変わったのは1996年に医療使用の合法化に踏み切ったカリフォルニア州の決断により、医療面の効果が具体的に可視化されたから。2001年にカナダがカンナビスの医療使用を合法化し、2008年にオーストリアがこれに続いた。その後も医療大麻の使用を許可する国は増え続け、2013年イタリア、ルーマニア、チェコ共和国、2015年コロンビアなどに続き、今ではドイツ、メキシコ、ノルウェー、ポーランド、スイス、トルコ、チリなど30カ国がリストに名を連ねたアジアでも2018年には韓国が、そしてタイがカンナビスの医療使用を合法化する決断をくだした。フィリピンやマレーシアでも合法化が議論されているという。またデンマークやフランスは限定的合法化を認めている。」

 

また本を読んで初めて知り、印象に残ったことのひとつは、過去に日本でも大麻の合法化を訴えたガン患者の方がいたが大麻の所持で逮捕され裁判の途中で亡くなってしまった、という出来事。実際に効果を感じていたから法律を犯してまで使用していたと思うのだけれど、無念だっただろうな…
今では日本でも「NPO法人 医療大麻を考える会」というのもあるし、2015年には「日本臨床カンナビノイド学会」も発足した。この学会では医師看護師研究者や業者など120名以上のメンバーを持ちカンナビノイドの研究と理解を進めているとこと。やっぱり、日本でも動きが全くないわけではないのだとわかった。

 

また、医療大麻が合法化さえされればいい、という簡単なことではない。種類や部位や成分など、複雑な知識が必要なのだ。禁止している場合ではなく、早く研究が進むような環境を用意するのが良いのではないかな、と個人的には感じた。
 

「カンナビスの中の細かい成分がそれぞれ役割をもっていて、ただやみくもにカンピナスを吸えばいいということではない。医療カンナビスが合法化されたあとでも患者にとっては異なるカンナビノイドのプロファイル構成要素を持つ多数のストレイン種の中から何をどう選んでいいのかわからないためだ。」
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今はマリファナなんてまったく馴染みがなくても、自分や我が子がが深刻な病気になったら?ありとあらゆる治療を試してみたくなるのでは?そんなことを考えながら読みました。

さまざまな立場の方が、教養として読んでおくのも良い本だと思いました。
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wmpicaco

2人の子どもを育てるアラフォーのワーキングマザー。転職経験なしの会社員。自分が本当にやりたい仕事はなんなのか?を模索しながら暮らしています。 詳しいプロフィールはこちら
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