来たる介護に備えて勉強「ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由」

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読書

こんにちは、ワーママpicaco(@wmpicaco_)です。

 

アラフォーになってきて、友達の親が亡くなったという話、介護が必要になった、という話もチラホラ聞くように。私の両親は今のところ元気ですが、年齢的にはいつ、何があってもおかしくないのかなとは思っています。

親のことは大切だし、いつまでも元気でいてほしい。でも介護は突然必要になる、とも聞くし、気持ち的に余裕があるうちに、勉強しておくべき問題だなと思っていくつか関連する本を読み始めました。

今回読んだ「ビジネスパーソンが介護離職をしてはいけないこれだけの理由」は、介護が必要になるまでに会社員としての仕事を辞めてもいいような状態にしておいたほうがいいんじゃないか?といった考えが少し頭にチラついていた私にとって、とても勉強になる内容でした。結果から言って、題名にもあるとおり介護が始まったかからと言って仕事を辞めるという選択肢は「完全にナシ」だと思えました。

 

 


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1 著者「酒井穣」さんとは?

著者の酒井さんは、介護関連の会社(株式会社リクシス)を創業された方で、ご自身も20年間にわたる介護経験者だそう。本の中にもご自身の体験も語られていて、特に海外生活をしながらの介護経験であった、というところが印象深かった。

 

2 介護とは何か

この本でははっきり、「介護とは自立支援である。」と定義している。そして自立とは、依存先が分散されていること。
つまり自分一人で介護を担おうとすることは間違いだということだと捉えた。

 

また、「同居はいいことがない。ギリギリまで避けるべき。」とも書かれていた。同居しないと介護は難しいのかな?とも思ったけどその考えも覆された。介護のプロである、介護職をする方々の多くが、「看取り というタイミング以外で親と同居するのはかなり難しい」という本音を持っているのだそう。

 

介護者は何をすればよいのか?以下のようにまとめられていて非常にわかりやすかった。
要は仕事と同じだな…
家族のことだからと言って妙に自分だけで背負おうとするのではなく、マネジメントする意識を持てばいいのだなと言うことがわかった。

 

家族と介護サービスで構成されたチームのマネージャーであるという意識を持つこと
・介護に関わるヒト、モノ、カネ、情報、を把握し、それぞれの資源を成長させること

3 役割分担、誰に頼るか

介護者自身が会社員であるならば、勤め先の企業のサポートも必要。例えば介護に関して相談できる職場の雰囲気を醸成しておくことなど、だそう。

 

現在会社員である私の場合だと、社内で最近は介護のセミナー案内や介護をする社員向けの制度活用の啓蒙なども頻繁に見かけるようになって、環境が整ってきている感じがする。ありがたい。

 

また、「仕事と介護を両立できている人は身体介護を自分でやっていない。」というところも印象深く、これまでは全然わかっていなかった事実だった。

 

身体介護において最も負担が大きいと言われるのが入浴介助と排泄介助で、これを介護サービス事業者」または「自分以外の家族」に頼れる体制を構築することが仕事と介護の両立の鍵、とのこと。
なんとなく、介護=最終的には入浴介助や排泄介助をしなければいけないのかな、と思っていたけれど、必ずしもそうではないということがわかった。

 

一方で、「優秀な介護のプロか出会うことは難しい」とも語られていて、その理由も悲しいかな納得…
「介護のプロは要介護者の支援をすることでお金をもらってるのであって、介護する家族の負担を減らすことからお金を得ているわけではないと考える人も出てくる。介護のプロは低賃金労働が強いられ、常に人材不足。心配する家族のいる要介護者の優先順位は残念ながら低い。」ということだそう。

 

しかしながら、とにかく1人、相談できる優秀な介護のプロに出会うことが大切で、そこから人脈は広がる、とのこと。自分がもしもの時は、優秀なプロに出会えるといいなぁ….

 

他には地域ごとに「家族会」と呼ばれたりするコミュニティも存在するようで、そういった場所でで横のつながりを持って情報収集すると良い。これは介護に限らず、何かに悩んだ時にはなんでも同じかな~という感じもした。

 

自治体こそ介護のおトク情報が集約されているので、自治体の介護窓口に相談するのがいいらしい。個人的にはどちらかというと、自治外の窓口に相談するのは面倒だし大したメリットがなさそう…などと思いがちだったけれど、介護に関しては制度も複雑なので頼ったほうが良いようだな、と理解した。
現在国としては介護離職ゼロ、を掲げているから、自治体の介護窓口の他に、地域包括支援センターというのもあって、仕事と介護の両立をするための細かい制度を隅々まで丁寧に説明してくれるとのことだった。

4 介護のポジティブな面

介護のポジティブな面について書かれている点もこの本のよいところ。

 

介護で大切にしたいポイントが以下のようにまとめられていた。
・生きていてよかった、と感じられる瞬間の創造
・自分の人生を自分で選ぶための選択肢を作ること

 

人間は、選択肢のない状態には不幸を感じるようにできている。逆にそれなりに選択肢があると、自分の価値観を見つめ、それに合った選択肢を考えるようになる。結果として、限定的な環境にあったとしても自分らしく生きられることになり、そこから幸福感を得られるようになっている。
これほんと、その通りだと思う。

 

この事を表した心に残るエピソードも載っていて、たまたまネットの記事でも同じものを見つけたのでリンクを貼っておきます。
東洋経済オンラインより↓
 

目標があることが大事で、目標は今という時間を将来のための手段にする、ということ。困難があってもそれがどこにつながっているのか、がわかれば、困難を乗り越えることの中に、喜びを見出すことも可能になる。
これは介護に限らずとも言えることだけれど、例え要介護の状態になった人にとってもそれは同じことなのだと、本を読んだおかけで明確に認識することができて良かったと思う。

5 親の人生について知っておくことの意味

もう一つ、本に出てくるエピソード「16時の徘徊」の話もとても印象的だった。
毎日16時になると徘徊してしまうおばあちゃんがいて、介護者の息子さんが困っていた。でもよくよくおばあちゃんの過去を振り返ってみると、16時は幼かった頃の我が子(介護者である息子さん)が幼稚園時代に、幼稚園バスが返ってくる時間、つまり母親としてお迎えに行く時刻だったことがわかったという。以来、適切な対処方法もわかり(息子さんは今日はお泊り保育だから帰ってこないよ、というとおばあちゃんが落ち着くなど)、介護の当事者は自分が深く愛されていたことを実感するなど、とても印象深いお話だった。

 

このエピソードからつながる提言として、「優れた介護を実施するには、親の人生についてこの細かさでの情報が必要になる」という内容があった。

 

可能であれば認知症になる前に、そうしたことを親から直接聞けていると理想的だと言う。親にも子を授かる以前にも人生があり、そのときの人生もまた、現在の親を形作っている。
私もこれを読んで以来、積極的に親と過去の話をしてみようかなという気持ちになり、タイミングを見て昔の話を聞いてみたりしている。
ただし…親ってなんか同じ話ばかりするんだよな。。そして「またその話か」という感想ばかりが残って、聞いた内容は忘れてしまったりする…反省。

6 デンマークの事例

デンマークで行われている高齢者福祉が良い事例として載っていた。
デンマークの高齢者問題委員会による、世界的に有名な高齢者福祉の三原則が以下の通り。
1 生活継続の原則
2 自己決定の原則
3 残存能力活用の原則

 

デンマークでは、施設介護は理想とはされておらず、在宅介護が支持されている。
仮に施設介護が必要となっても、デンマークの介護施設はあたかも普通の住宅のようになっていて、使い慣れた家具などを自室に持ち込めるといった配慮もなされている。
高齢者が生活環境を変えることは想像以上のストレスがあり、様々な病気、特に認知症が悪化することが知られているそう。

 

本を読む前までは、在宅介護は大変なイメージしかなく、施設の介護のほうが(親の介護を想定した時に)親と子のお互いのためなのかな?ぐらいに簡単に思ってしまっていたが、デンマークのこの話を読んで考え直した。

 

本によれば、本人がどうしたいのかという意思が最も重要。そして、この考え方自体が日本ではあまり根付いていない可能性もあるので特に意識する必要がある。日本では、周囲に迷惑がかかるとか他人の意見を尊重する考えが浸透しすぎている。

 

確かに、うちの親とも面と向かってそんな話はしたことはないが「周りや子どもに迷惑をかけたくないから介護が必要になったら早々に施設に入る」とか言い出しそうだなと、なんとなく思う。(そう簡単に施設に入れない、という話は置いておいて。)
でも、一方で自分たち好みのバリアフリー住宅を建てて「住み心地が良い」と気に入って暮らしている様子を見ると、やっぱり自宅でできるだけ長く過ごしたい思いはあるんじゃないかな…その辺も自分の思いに正直になってほしいな、と今の時点では思っている。

 

ちなみにデンマークでは、「手を差し伸べる」のではなく、「背中に手をまわす」ことが大切とされているらしい。自分でできることを先回りしてしまうとまだ残されている能力が弱体化してしまう可能性が高いからだと。

介護についての知識がまだまだ少ない私にとって、介護に備えてのマインドを変えてくれるとっても良い本でした!もしも、「いざ介護」となったら再読したいとも思っています。

気になる方はぜひ、読んでみてはいかがでしょうか。
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wmpicaco

2人の子どもを育てるアラフォーのワーキングマザー。転職経験なしの会社員。自分が本当にやりたい仕事はなんなのか?を模索しながら暮らしています。 詳しいプロフィールはこちら
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