中学受験否定派の本を読んでみた

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教育

こんにちは、小学2年生の息子を持つワーママpicaco(@wmpicaco_)です。

コロナの影響もあって、今年度以降の中学受験傾向がどう変化するか?も気になるところではありますが、首都圏に住み加熱する中学受験の話題を耳にしていると、やっぱり我が子の進路が悩ましい。

中学受験関連の本はこれまで何冊も読んでいますが、中学受験に否定的な考え方も知っておきたい、ということで、あえて否定派の本を探して2冊読んでみましたので紹介します。


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1. 中学受験が子どもをダメにする

この本の著者は40年近くの高校講師と塾講師の経験があり、一万人以上の教え子を世に出し、教育や子育ての講演会を200回以上開いてきた方。
著者はかつて塾で中学受験クラスを持っていて、私立中学受験の弊害も目にしていたことから、どちらかというと中学受験には否定的な考えを持つようになったようで、そのことをまとめたのがこの本のようです。

 

著者の主張の一つは、「中学受験の勉強は、本来持つべき考える力を奪ってしまう行為である」ということ。
どういうことかというと、中学受験はテクニックを効率的に教え込むことになっていて、その成果は記憶力や処理能力の優劣でしかない。そして、「深く考える」「なぜという疑問を持つ」という、学力をつける上で最も必要で基本的な態度からほど遠いものであると書かれている。

 

これは私も周りを見ていて感じることだけれど、中学受験をする小学生は決していやいや勉強しているわけではないし、ゲーム感覚で楽しみながらやっているケースも多いのではないかと思う。

 

ただしこの本での著者の考えとしては、そんな子ども達でも「根っこのところでは、勉強が好きでやっているわけではなく、親や先生たちからの誘導や、周りの友達の影響、つまり典型的な外発的動機付けによる学習行為だ」という。そして「このような行為は、受験の終わりや不合格により一気に勉強への関心が冷え込んだり、トラウマになる恐れがある」とも書かれていた。

 

「答えのある問題ばかりパターン的に素早く解くことは、答えのなかなか見つからない問題や、そもそも答えのない問題に対処できない人間になってしまう可能性がある。社会に出たら答えのないことに対処する力のほうがより必要となる。」という主張もあった。

 

確かに、「外発的動機付け」による受験勉強が将来的に子どものやる気を削ぐ可能性もありそうかな、とは感じたけれども、受験による知識習得で物事や社会を見る解像度が上がり、その後に有意義に活かしていける子もいるのでは?と私は思っている。
要するに「その子による」と言ってしまえばそれまでなのだが…
完全に著者の意見に共感するわけではないが、長年の経験を持つ教育のプロの方の一意見として、とても参考にはなるとは感じた。

 

そして著者が中学受験を否定的に捉える二つ目の主張は、「親や世間が考えるほど人生で有利に働かない」というもの。

 

付属中に行き、高校受験がないから楽できる、と考えるのは安易で、付属中出身の生徒のほうが高校から入る子たちより学力が低いというのは一般的にデータで表されている事実であるし、また大学付属校でも希望の学部に入学できるとは限らない、ということが書かれていた。
これは他の受験関連本でも見かける話で、ある程度理解してたので私にとってはさほどの印象深さはなかった。

 

また著者は、「最近の公立中高一貫校の入試で見られる、物事の本質を問うような良問、なら受ける価値がある」とも言っている。中には、詰め込みではなく、日頃から社会問題や身近な問題にどれくらい関心を持ちよく観察しているか、日頃からささやかな問題を掘り下げて考える習慣があるか、を問うようなテクニックが通用しない入試も出てきているとのこと。
これは、近年の入試では私立であってもだんだん増えている傾向なのではないか、と本や知り合いの話などで聞いただけの知識だけれども感じている。
単純な知識詰込み型の勉強が古い、ということはかなり一般的に認知されていて、状況も変わってきているのではないだろうか。

 

中学受験を否定的に語る一方で、高校受験が子どもにとって良い経験だとも主張されていた。
「中学受験がお子さんの才能の芽をつむことになりかねないのに対して、高校受験はお子さんの自立を助け、成長を促す。」と、著者は高校受験のことは非常に有意義だと述べています。
両者の違いは主として年齢で、15歳なら武士の時代なら大人扱いされる年齢であるということ。
勉強は自立心があるのとないので大きな差が出る。著者の経験として、高校受験では子ども達が自立して飛躍する瞬間を目にすることがあり、「自分の能力に目覚めた15歳はすごい」と感じられているそう。

 

さらに、本の終盤では親のあり方についての提案もされている。
印象に残った部分を簡単に抜粋すると以下のとおり。

 

「私たち親は子どものためと思ってあれこれ心配して悩むけど、実のところ私達自身が自分の中にあるさまざまな観念や心の迷い、世間体などに邪魔されて子どもの本当の姿を見失っているのでは?

 

子の幸せは親が与えるものではない。子ども自身が見出していくしかない。その時に親ができることは、子どもの生きる力を信じて見守っていくことだけ

 

親の心配は、お前を信頼していないという無言のメッセージとして子に受け取られてしまう。親が心配をやめれば、子は親から信頼されているという思いを持てるようになる。
親が自分の抱えている不安や執着を手放すと、子どもはもう甘えられないんだ、と感じて責任感を持ち始める。そして精神的に親離れして自立していく。

 

この辺は、私のバイブルにしているこの本↓の内容にも通ずるところがあると思った。

2. 頭のいい子には中学受験をさせるな

詳細を知らずにタイトル買いをしたこの本は、「稲荷塾」という、京都の数学専門塾の代表の先生が書かれた本で、「難関大学を目指すには中学受験よりもっと効率的で良い方法がある!」と主張する内容。ちょっと私の本来知りたかった内容とはズレていた…(難関大学に行くことが、子供の幸せにつながる目標だ、と定義すること自体に疑問を感じているので。)が、一応参考にはなったので簡単にまとめておきます。

簡単に言うと、稲荷塾で実践されている「稲荷塾方式」がいかに素晴らしいかが語られており、塾の宣伝ぽいな~という印象。

『「灘」を超える、東大合格メソッド』という副題が付いているだけに、

・難関中学を受験しなくても、もっと効率的に東大京大に受かる勉強法がある。

・その方法を実践しているのが稲荷塾だ!

という内容で、その方法論を教科や学年ごとに細かく分解して説明している。

主に関西の有名私立難関校である、灘中、灘高のカリキュラムが例に出されていた。

 

<灘のカリキュラムの特徴>
・中一の1年間で中学数学を覚え、中二から高校数学に入る。

 

・1つの学年を担当する教師たちで学年団が組織され、基本的に中、高校の6年間はその教師たちが責任を持って各教科を担当する。

 

・6年間で何をどのように教えるのかと言う手順や時間配分、いわゆるカリキュラムについてよく考えられて最適化されており、数学において最も効率が良い方がこの灘型である。

 

灘では中高の学習を最も効率よくすることを考えているのに対して、稲荷塾方式は、小中高の学習を最も効率よくすることを考えている、とのことだった。ごく一般に用いられているカリキュラムでは高校課程を学び終えた後の演習時間を確保することができない。
しかし稲荷塾方式では小学生のうちに中学数学を、学び終える。そのため優秀な子は中学受験のための勉強に時間を費やすことなく小学生のうちから中学数学、高校数学と学び進めることで本来の力を発揮することができる、との主張だった。

 

これを読んで、小学生のうちに中学高校数学まで進める子とは、かなり優秀でやる気もある子なんだろうな…うちの子とは程遠い… と他人事にしか感じられなかったのが正直なところ。
確かに優秀な子にとって小学校のしかも学校レベルの勉強は簡単だろうし、飛び級制度の是非、みたいな話にもつながるかと思うが、優秀層がどんどん能力を伸ばしていける環境はあったらいいとは思う。

 

この本に書かれていたことで、多くの人が思い込みやすいけどその通りだな、と思ったことが以下の内容。
・子供の才能は小学生のときに見せる理解能力によって決まるものではない。
・理解が良いに越したことはないが、成し遂げる実績は理解能力に比例するわけではない。
理解能力は能力のうちの一部にすぎない。

 

私もついつい、我が子の理解の速さや度合いによって安易に能力の良し悪しと捉えてしまいがちだな、と反省した。それだけに囚われすぎないように気を付けたい。

 

ちなみに著者が小学生を見るときの観点、その子が伸びていけるかどうかを判断する基準は以下の通りだそう。色々な教育本で、伸びる子伸びない子の見分け方、みたいなことが書かれていたりするので面白い。
① 目がキラキラと輝いているか
② 集中力はあるか
③ 落ち着いた雰囲気はあるか

 

目がキラキラって!たいていの子供の目はキラキラしているように見えるのは私だけだろうか….

中学受験のマイナスの側面も検討しておきたい、という方は読んでみてはいかがでしょうか。
ちなみにこちら↓は中学受験の良い面、悪い面の両側面からまとめられている本で、これも勉強になりました。
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wmpicaco

2人の子どもを育てるアラフォーのワーキングマザー。転職経験なしの会社員。自分が本当にやりたい仕事はなんなのか?を模索しながら暮らしています。 詳しいプロフィールはこちら
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