「あなたの会社、その働き方は幸せですか?」を読んだ

こんにちは、ワーママpicaco(@wmpicaco_)です。

ライフネット生命の創業者で現、立命館アジア太平洋大学(APU)の学長である出口治明さんと、東京大学名誉教授で日本のジェンダー研究の上野千鶴子さんという著名なお二人による、働き方に関する対談本「あなたの会社、その働き方は幸せですか?という本を読みました。

自分に問いかけられているような題名に惹かれて手に取りましたが、まさに日本の大企業に勤める私にとって、やっぱり自分はまだまだ古い慣行にとらわれた組織の中にいるんだなぁと改めて考えさせられる内容でした。

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1 出口治明さんと上野千鶴子さん

お二人とも存じ上げてはいたものの、この二人の接点があったんだ?というのは初めて知りました。二人はともに1948年生まれで京都大学出身の同期だそう。大学時代の面識はなかったけれど、お互いの活躍を見て意識していた、というようなことが書かれていました。

私からすると親ぐらいの世代のお二人ですが、考え方が時代に合っているし、本の内容からは過去の決して輝かしくない時代の話から、長い間ずっと挑戦し続けている姿もうかがえて、本当にすごいな、と尊敬の気持ちになりました。

2 ジェンダー問題

上野さんと言えば、2019年の東京大学入学式での祝辞スピーチが有名で、私もこのスピーチがきっかけで上野さんのことを知りました。上野さんはジェンダーの問題を研究する第一人者で、このスピーチでも未だに東大の学生生活の中でも性差別が根強く残ることなどを取り上げられていました。

そんな上野さんの対談本ということでジェンダーの問題が取り上げられるのは当然のことだと思われます。

日本は性差別が先進国の中で最も厳しい社会と言われています。
2019年世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で、日本は153カ国中121位となりこれは「121位ショック」と呼ばれ問題視されていますが、なかなか改善しないのが現状。

そんな中で出口さんの「性別フリー、年齢フリ、 国籍フリーで働くのがホモ・サピエンス本来のあり方であり、これからの社会が目指すべき働き方。個人差は性差や年齢差をやすやすと超える。」という話が印象的。日本もどんどん、性差により個人の能力発揮の機会が損なわれることがなくなる社会になるといいと思う。

個人的にはどちらかというと女性であることに甘んじているというか、性差による不自由を超えて行きたいみたいなエネルギッシュな思いが全くない人間なのだけれど、社会全体としては、そういったジェンダーの壁があることが大きな損失になっていることは理解できるし改善するべきだという考え。

3 日本企業の古き悪しき慣行

加えて二人は、日本企業の古い制度を一刀両断!

新卒一括採用、終身雇用制、年功序列制、定年制このワンセットの労働慣行は人口の増加と高度成長という2つの前提条件が揃わないと成り立たないものだからやめるべき」、と出口さん。

上野さんはこれにもう一つ加えたい。と言って「企業内労働組合」をあげていた。「労働組合はフェミニズムの敵だった。」という話は私はこれまで思いつきもしない観点だった。
日本型経営は女性の犠牲のもとに成り立っていたとジェンダー研究では結論が出ている」らしい。女性を労働市場から排除することで、完全雇用などが保たれてきて、労働企業は会社と共犯だ、とも書かれていた。

「おじさんたちには、自分たちが積み上げてきた組織文化を変えたくないという動機があるのではないか。だから組織ロイヤリティの低い女性や外国人に対する不信感がぬぐえない」

確かにうちの会社でも未だに労働組合の話し合いはおじさん達ばかりで行われているように見えるな..

4 移民

移民をもっと積極的に受け入れるべきだ、という点でもお二人の意見は一致していた。(ちなみに日本の移民受け入れについてはこの本がとても勉強になった。)

出口さんが学長を務める立命館アジア太平洋大学(APU)の国際学生は労働市場でも今かなりの人気を集めているそうです。「移民はその社会の真ん中より上の人たちが来てくれるし、祖国を離れてご飯も言語も違うところに行くという人は平均的に見たら、意欲と体力と能力も優秀な人に決まってる。それに冒険心や好奇心もあるし、チャレンジ精神もある。」とお二人は言っていて、私も海外から日本に移住した方は仕事関係で何人も知っていますが皆これに当てはまるな、と感じます。

5 教育

子どもの教育の観点でも参考になる話があった。

これまでの時代に必要とされてきた以下のようなことだけを、無批判的に継承していては、世界の中でどんどん衰退していってしまうということ。

・これまでの日本社会あるいは学校教育が目指してきたのは、偏差値、素直さ、我慢強さ、協調性、上司の言うことをよく聞くこと、ではないか
・偏差値がそこそこ高いということは、工場のマニュアルが読める、あるいは余計なことは考えずに答えが一つだと教わっているということ
・自ら問いを立てたり、常識を疑ったりするのではなく、いかに早くソツなく正しい答えに辿り着くか
・戦後の製造業の工場モデルに準拠した社会では、この5要素を満たした労働力が必要だった

私も自分が育ってきた時代ではやっぱりこれらのことが重視されていて、その感覚が自分にも残ってしまっているように思う。だからこそ、これだけの観点で子ども達を見ないように気を付けなくてはいけないと思った。

6 二人の経験について

「私はこう働いてきた」というお二人それぞれがこれまでの経歴を振り返って語る章では、意外だと感じる内容もありました。

上野さんはご自分はあえて組織に所属する働き方を選んできた、として次のように言っていた。
組織は有能な人の足を引っ張りますが、無能な人を守ります。だから、人並み以上の意欲と能力が自分にあると思わない限りは、裸で荒野に立つのはリスクが高いのです。これが私のリアリズム。私が「会社」を辞めなかった理由です。』
卒業生から脱サラの相談を受けた時にも「ちょっと頭を冷やそう」と言ってきたと。自分で「女性学」という学問を切り開いてきたすごい人なのにずいぶん謙虚なんだなと感じた。
そしてこれを聞いて、私もやっぱり簡単には会社を辞められない…と思ってしまった。

一方、出口さんの経歴や考え方も意外だなと言う一面があった。
出口さんは元々日本生命に入社した後に一時出世コースを走っていたが、社長と意見が合わなくて50代で子会社に左遷された経験があるという。その後60代でライフネット生命を立ち上げたということだから、年齢で何か始めるのをあきらめたりするようなことはいかにもったいないか、と思う。
そして、出口さんが「諦めて今の状況を受け入れる」という考えなのがちょっと意外だった。若い人にアドバイスをするとしたら、まず「早くあきらめろ」と助言するとおっしゃっていて「現状をまずはありのままに受け入れ、世の中とはこんなもんやと早くあきらめて、目の前の仕事に集中しろということ」だと。そうやって一つ一つの仕事に集中してきた結果、大きなことを成し遂げているんだなと。

この本が発行された時点で、立命館アジア太平洋大学(APU)の3年の任期を終えて再選されるかわからない状態(国際公募で決まるらしい)だったみたいだけど、それについても「周りの人が決めることです」みたいなことを言っていて、結果的に再選されていた。出口さんが学長を務めるAPUがますます魅力的に思えてきた。

自分の働き方や、子ども達の将来について改めて考えたい方には参考になる本だと思います。

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2人の子どもを育てるアラフォーのワーキングマザー。転職経験なしの会社員。自分が本当にやりたい仕事はなんなのか?を模索しながら暮らしています。 詳しいプロフィールはこちら